病院長あいさつ

 平成27年4月1日

   くぼた けん
院長 久保田 憲
1 病院のご紹介

 荏原病院は明治31年に世田谷の地に伝染病の病院として産声を上げた長い歴史ある病院です。昭和9年には洗足池に程近い閑静な住宅街にある現在の敷地に移転し、都立の総合病院へと発展してまいりました。平成6年には新築して現在の姿になりましたが、玄関待合のステンドグラス、病院内の随所に使われた大理石、大きな窓や光庭などを配し地下1階まで陽光溢れる院内環境など、築後20年を経た今も機能性と斬新さを保つ魅力あふれる病院です。

2 地域医療支援病院

 平成18年に東京都保健医療公社に移管され、“医療で地域を支える”を合い言葉に地元の田園調布地区を中心に広くは城南地区の大田区・品川区・世田谷区・目黒区の地域医療を担う病院として、各地区の医師会に所属する身近なかかりつけ医と連携して、紹介される多くの患者さんにそれぞれのニーズに適合した高度な医療を提供してまいりました。この役割を着実に果たすため平成21年には「地域医療支援病院」の承認を受けております。この機能を十分に発揮するためには、かかりつけ医からの適切な紹介と紹介目的を達成したあとの病院からかかりつけ医への適切な逆紹介が欠かせません。新たな病気で荏原病院を受診される際には、地域の医療機関からの診療情報提供書(紹介状)の持参をお願いいたします。

3 患者さんと医療者との関係

 近年、医療機器や医薬品は年々長足の進歩を続けており、これらを用いた診断と治療の方法や技術も着実に前進しています。私たち、荏原病院の医療者(医師と全ての医療スタッフ)もその進歩を取り入れるべく、常に切磋琢磨を続けております。しかし、これら最新の知識や技術だけでは、よい医療の提供はできません。大切なのは、医療を提供する私たち医療者と、それを受容する患者さんとの良好な人間関係です。昔のような「お医者さま」では駄目なことはいうまでもありませんが、たとえサービスを受ける顧客であっても「患者さま」では立ち行かないのが医療です。

 現代の医療現場では、患者さんと医療者とは病気に対処するために共に手を組んで進む“対等なパートナー”であることが求められます。医療者は患者さんの病気の状態について自らの知識と経験に基づいて判り易く説明し、治療方法について提案して同意を求めます。患者さんは説明の内容をよく理解した上で同意するか否かの意思を表明してください。これが「十分な説明を受けた上での同意(インフォームドコンセント)」です。私たちは医療者と患者さんとがお互いを理解して認め合い、信頼関係を築きながら進めていくことが、よい医療の提供に不可欠であると考えています。「患者権利憲章」に患者さんの“8つの権利と2つの責務”が述べられていますのでご参照ください。

4 特色ある医療機能

 総合病院としてこのホームページ内の各項で紹介する多彩な医療機能を有する荏原病院ですが、その中でも特色ある機能の概略をご紹介いたします。

  • 救急医療:入院を要するような救急疾患を扱う二次救急医療機関に指定され、1階北側の救急室において救急患者さんを受け入れ、救急病床として内科系・外科系4床と小児1床の計5床を確保して対応しています。平成26年7月からは、平日昼間も含めた24時間体制で救急室を開いて対応しています。救急搬送の受け入れも勤務医の輪番制を強化して積極的に行い、年間4000台を超える救急車を受け入れて地域の救急医療を支えています。
  • 高気圧酸素治療:専用装置内の高い気圧のもとで酸素吸入を行い血液内に溶け込む酸素量の増大を図る治療法で、減圧症(潜水病、潜函病)、 一酸化炭素中毒、突発性難聴、網膜血管閉塞症、放射線性壊死など、多種多様な病気に有効です。実施する施設が限られているために国内の広範囲の医療機関から依頼を受け、年間4000件以上の治療が行われています。
  • 総合脳卒中センター:専門病床であるSCU(Stroke Care Unit)6床を活用する脳卒中急性期の集中治療から、回復期のリハビリテーション、在宅復帰後の再発予防に至るまで、脳卒中の患者さんを総合的に治療している施設です。診療には、神経内科・脳外科・放射線科・リハビリ科など多くの診療科が緊密な協力体制をとって臨んでいます。
  • 認知症疾患医療センター:超高齢社会の訪れで増加が懸念される認知症に対して平成24年に都知事からの指定を受けて開設されたもので、「認知症(もの忘れ)外来」や「認知症相談窓口」を設置しています。認知症の方は身体合併症も多く、入院が必要なときは院全体で随時対応して入院治療も行っています。院外においても、講演会などを通じた啓蒙活動や「アウトリーチ」と呼ばれる早期発見・早期診断の取り組みに貢献しています。
  • 緩和ケア:荏原病院の重点医療のひとつは集学的治療を中核とする“診断から看取りまで”のがん医療です。「緩和ケア」とは、がんを始めとする重い病気の患者さんやそのご家族の身体や心にもたらされる様々なつらさを和らげ、より豊かな人生を送れるように支えていく取り組みです。荏原病院では多職種(医師をはじめとする多くの医療職)で「緩和ケアチーム」を組織し、診断時からの緩和ケアに取り組んでいます。
  • 感染症内科:当院はその成り立ちから伝染病の病院としての長い歴史と伝統をもち、多くの感染症に対応できる感染症対策の主要な病院の1つでもあり、全国に46病院ある第一種感染症指定医療機関になっています。

5 高齢化社会の訪れと荏原病院

 わが国は今、世界の歴史に類のないスピードで人口構成の高齢化が進んでいます。団塊の世代が75歳を迎える2025年までに、総人口が減少に転ずるとともに、65歳以上の高齢者の割合が24%から一気に30%まで増加すると予想され、“2025年問題”と呼ばれています。国と各医療機関はこの困難な課題に対処するため、医療と介護の仕組みの変革に取り組もうとしています。
荏原病院でもこのような医療ニーズの変化に適切に対応するため、各病気の初期における高度急性期の集中治療の体制を維持しつつ、退院後の在宅医療に繋げるためのポスト急性期を扱う地域包括ケア病棟の機能を強化しています。また、訪問診療・訪問看護によって在宅医療を支援する地域の訪問ステーションとの連携も進めてまいります。一方で、妊娠出産や小児医療に関わる産科と小児科の機能を堅持して少子化対策の面からも地域の医療を支えてまいります。

 荏原病院は、以上ご紹介したように、地域の医療を支援すべく職員一同が一丸となって進んでいく所存ですので、改めて地域の皆様のご理解とご支援を心からお願いして院長のあいさつとさせていただきます。

 院長 久保田憲

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